6月6日は、タヌキマメ自生地でのヨシの青刈りです。場所は渡良瀬遊水地第一調節池内奥の自生地です。
タヌキマメは栃木県内でも点在するのが稀で遊水地内でも生育地が限られるなど希少性の高いマメ科の一年草です。開花は7月~10月で、日当たりのよい草地や道端、河川敷などに生えます。
梅雨前の曇り空の下、自生地近くの駐車場に集合した総勢10名の会員でスタートです。徒歩で自生地に移動し、最初に会長から昨年、開花時期に会員で調査した開花しているタヌキマメの位置をマッピングした概要図が配られ、生育の可能性が高いおおよその位置を確認しました。その後みんなで改めてタヌキマメの葉などを確認し作業開始です。
作業はオギヨシを手刈りし、セイタカアワダチソウは抜き取り作業で進めます。タヌキマメはまだ5cmの丈で大きいものでも10cm程度なので丁寧に確認しながらの作業でした。
昨年から始めたタヌキマメ自生地の保全活動も手刈りでは作業量も限られることから会長が肩掛け草刈り機を調達し、今年は手刈り作業に加え草刈り機による作業で昼前に余裕を持っての終了でした。刈ったヨシなどは自生地の生育に影響しないような場所まで運び、作業が終了です。これから順調に生育し開花するのが楽しみです。
なお、このタヌキマメ自生地の所は、草地にオギヨシの侵入やセイタカアワダチソウ等もあり生育環境が悪化しています。さらに周辺でも以前はあった自生地が見られなくなってきたようで、この自生地の保全性が高まっています。
昨年に続きヨシ青刈り作業のボランティア募集を行いました。今年の参加者は無でしたが、今後も広く参加者を募って貴重な渡良瀬遊水地の自然環境が保全されるよう努めたいと思っています。(S.E)
5月16日は、講師に栃木県植物研究会元会長の園部力雄さんをお迎えしての調査会でした。
場所は、ひろびろとした草原が続いている第3調節池の奥の方、はじめて訪れるところです。
土手を下りながら見るチガヤは節に毛があるフシゲチガヤ。下に少し進んで見られるのは、節に毛がないケナシチガヤ。風になびく綿毛の様子は同じに見えますが、種が違うのですね。
シナダレスズメガヤの生える道を進むと、道脇にレンリソウが咲いていました。紫色の花はツルをのばして目立ちます。
カナビキソウは、葉も茎も花も細くこまかいけど丈夫そうです。
道が終わって少し湿った草原になります。ヒメシダ・コウヤワラビが茂っています。
黄色のスゲドクガはふれないように、通り過ぎました。
ヌマアゼスゲが群生していて、中にオニナルコスゲが混ざっています。
マルバヤナギの木の下を抜けると、花が咲き始めたハナムグラがたくさんあります。
そしてヨシの間にタチスミレが点々と咲いています。ニョイスミレに似た小さい花は陽の光をあびてうす紫に見えます。
花は小さいですが、葉は細長く、茎をのばして30センチくらいになっているでしょうか。この後ヨシなどによりかかりながらもっと伸びるそうです。
アキノウナギツカミ・アゼナルコスゲ・ミコシガヤ・ケキツネノボタンなどが見られました。
エビネが咲いているところに少しまわり道してから出発地へもどりました。
園部さんには 貴重なお時間をご指導いただき、拙い質問にも気さくにこたえてくださり感謝いたします。ありがとうございました。(MK)
今日はサクラソウ自生地の除草作業です。
先週はここで開花したサクラソウの花柱を調べその位置を記録する面倒な作業をしました。
今年のサクラソウたちはとりわけきれいに咲いてくれました。
新緑の大地のピンク色は美しいです。
今年もありがとう。
1週間後また来てみると、すでにサクラソウより他の草の方が勢いよく、サクラソウは埋もれていました。
最近とくに草の勢いがすごいです。これは遊水地全域について言えることで、ある意味困った傾向です。遊水地の希少種はおおむね小型のものが多く、他の強い草に負けているのです。
これは遊水地の富栄養化が進んでいるのではないかということと関係していると思います。困ったことです。
今年のお礼を込め、来年もまた元気に咲いてもらいたい気持ちで除草をしました。
午後は場所を移して植物探索をしました。
トモエソウがたくさんありましたがまだ未開花でした。
あくまで印象ですが、トネハナヤスリとハナムグラが減少したように見えます。
エビネがあってもよいのに見つかりませんでした。
いつも行く水際の泥地は絶滅危惧種だらけのはずなのに、なぜか単調でした。
とてもすっきりしない終わり方でした。(MO)
4月25日、いよいよ2026年のサクラソウ調査の日。一週間前の4月18日には、総会後に縦横25cmの方形枠をロープで設置して準備を整えてあります。昨年度開始したサクラソウ調査結果は、研修会を経て会員に共有され、現状理解と新たな疑問を巻き起こしました。さて、その解明や、いかに。
サクラソウはニ型花柱性という面白い生殖戦略を採っている。長花柱花と短花柱花の二つの花形があり、その異形花間で交配をするのである。遺伝的多様性を担保するために、自家受精を避け他家受精する仕組みである。ただし、そこには花粉を媒介する送粉昆虫の存在が欠かせない。送粉昆虫がいない場合には受精できず種子をつくることはできない。種子ができないということはつまり個体群の衰退を招くことになる。
ところで、サクラソウには等花柱花という突然変異体が生じることが知られている。この変異体では、自家受精が可能なので送粉昆虫無しでも種子をつくることができる。
昨年度の調査から渡良瀬遊水地のサクラソウ(渡良瀬遊水地集団)は、長花柱花の2集団と短花柱花の大小の6集団、さらに等花柱花2集団で構成されていることがわかっている。等花柱花は長花柱花、短花柱花の集団内にも少数確認されている。等花柱花の個体数変動は、送粉昆虫の有無を反映するだろうし、集団の今後を推測する重要な資料になる。
以前に記したことだが、クリンソウにおいては送粉昆虫の減少に伴い、ニ型花柱性の仕組みが崩壊して等花柱花への移行が進んでいる。等花柱花への移行は、即ち遺伝的多様性の低下を意味し、絶滅への負のスパイラルの入口になるかもしれない。
4月25日の調査結果は取りまとめられて、この後、会で共有されることでしょう。速報版ではなにやら長花柱花が増えている様子です。また、等花柱花の中に昨年度見つかっていた短等花柱花に加え、新たに長等花柱花が見つかりました。今後結果の考察をすることになりますが、これは大いなる挑戦です。渡良瀬遊水地集団の動態調査は、新たな知見をもたらしてくれるかもしれません。ますます面白くなってきましたね。(KMae)